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高梁市バスタブ塗装

2016年10月1日投稿

9月26~28日と岡山県高梁市で施工。
わが社から高梁市まで距離にして60km、車で1時間30分程度かかります。
山口県、愛媛県など3~400kmの出張と較べるとずいぶん近く、そして楽に感じます。

むかし地元での各種リフォーム施工がメインだった頃は、現場までの平均移動時間は20分程度でした。
30分以上かかる現場は、当時ずいぶん遠い所のように感じていたものです。

人間の感覚・知覚・認識は驚くほど相対的です。
「いい加減」、「当てにならない」とも言います。

そんな人間の書くブログですから、きっと正確さに欠ける部分もあることでしょう。

今回の施工は、実にオーソドックスなものでした。
古いアパートのユニットバスが全体的に経年劣化。
塩ビ鋼板の壁面下部にフクレがわずかに発生。
FRP浴槽喫水線以下の表面ゲルコートが消失し、下層のガラス繊維が広範囲に露出。
当然のごとくクラックも発生。

天井・壁・床の劣化は許容範囲内というオーナーの判断で、今回は浴槽のみ施工。
塩ビ鋼板のフクレが進行し錆が目立ち始めたら、残りを施工することになるでしょう。

1日目、FRPライニングを中心に下地補修および足付け(サンディング)。
2日目、ベースコートとトップコート吹き付け。
3日目、養生除去、バフがけ、撤収作業等に2時間強。

赤外線ランプによる強制硬化の必要もなく、比較的のんびりした施工になりました。

- のんびり - ?

本当はいつも「のんびり」仕事したい。
しかし現実は違います。
時間に追われながら「狂ったように」施工するのが、この仕事の常態です。
つまり狂気が正常な異常な世界です。

「こういう事を書くから、技術研修受講者が減るんだ!」と時々叱られます。
「でも本当のことだから・・・。」と答えるしかありません。(笑)

今回の施工中も、会員企業の皆さまから技術的質問を含め、いろいろ電話をいただいたのですが、中でも4年半キャリアの熊本Yさんとは、「施工時の狂気スイッチのON/OFF 」に関する哲学的・詩的考察で盛り上がりました。

お客さまにはあまり聞いて欲しくない内容ですが、当人たちにとっては楽しいことこの上ない会話です。
携帯電話を固く握り締め、狂気について話し込む四つの目は、きっと怪しい光を放っていたことでしょう。
まだ暑いですからね。

今回はめずらしく写真を撮りました。
天邪鬼の私は「今回こそ写真を撮ろう!」と決めると、必ず撮りません。
「自分に対して天邪鬼になっててどうするの?」と思いますが、そのくせ「今回は写真必要ない」と決めると、素直にその決定に従います。
要するに基本的に写真撮りません。

今回の写真撮影は女房の功績です。
施工前と施工後、各々3回ずつスマホに「写真撮るの忘れないでね~!」とメッセージを入れてくれたのです。(フランス語と英語で。少し自慢そして自戒。次に、この一文を消せないことに自己嫌悪。やがて居直り。)

施工前後の違いが判別できないほど微妙かつ精妙な写真が撮れたのは、私の功績であり実績です。
私が施工写真を含め写真撮影全般を嫌うのは、実は天邪鬼だからではなく、ご覧のようにただ下手だからです。

 

 

2016.09.30 022

(浴槽およびエプロン 施工前)

 

喫水線以下に変色、クラック、ガラス繊維の露出。
これでは入居希望者も決断を戸惑うでしょう。

 

 

2016.09.30 042

(浴槽およびエプロン 施工後)

 

9ヶ月が経過して、フジスプレー社製ミニマイト5の取り回しにもずいぶん慣れてきました。
光沢、平滑さともにOK。自讃。

 

 

2016.09.30 024

(浴槽底面 施工前)

 

ゲルコートが加水分解により消失。
下層のガラス繊維が露出して美しくない。

 

 

2016.09.30 033

(浴槽底面 施工後)

 

写真と作文は下手だが、吹付けは上手?
自讃と長時間の自問。

 


 

今回の施工には後日談があります。
後日談と言っても施工翌日、おとといのことです。

高梁市は岡山県中西部に位置する人口3万人の小都市です。
車で移動してると山中の川沿いに、突然街が現れます。

歴史ある城下町ゆえか、街も人もとても落ち着いています。
なぜだかこの街のことが気になり、2日目のベースコート硬化待ち時間に車で辺りを少し探索しました。

車からしっかり整備されている武家屋敷を見ていると「備中松山城」の看板。
火に誘われる蛾のように城に向かう。(仕事は大丈夫か!)
ところがこの城は、天守が現存する山城としては、日本で最も高いところにあるのだそうです。
時間的にとても無理なので、泣く泣く断念。(仕事最優先!)

それで施工完了翌日、女房と日帰りドライブしました。
女房が撮った写真に変わったものが2枚あったので、ご紹介します。

 

 

2016.09.30 001

武家屋敷の居間

 

当主の首がわずかに右に傾き、息子に何かを話してる。
息子は神妙な面持ちで聞き、奥方はわずかに微笑んでいる。(奥方は美人です。)

見学者は即座に「何を話してるんだろう?」、「武士の心得を諭してるのかな?」、「それとも晩飯のメニューの相談か?」と想像を膨らませてしまう。

人形の首をほんの2~3度傾けるだけで、そこにえも言われぬ趣き、リアルさ、物語性が生まれるのは面白い。

塗装ロボットによる完全無欠な新車塗装より、狂気モードの職人が2~3センチ手元を狂わせてホンノリ垂らした塗りの方が味わい深いことに似ていなくもない。(違うような気もする)

あまりに驚いたので写真は撮ってないのですが、ここにはもう一体別の人形があります。
靴を脱いで玄関から部屋に上がると、とつぜん身長2メートルくらいの家来の人形が現われ、深々とお辞儀するんです。

女房も私もギョッとして大きく後ずさりしました。
女房はもう少しで悲鳴あげそうでしたね。

後で「君、あのね~。」とつぶやきながら確認すると、家来は身長2メートルどころか私よりうんと小さく、可哀相なことにずいぶん栄養が足りてない感じでした。
「人間の感覚・知覚・認識は驚くほど相対的です。”いい加減”、”当てにならない”とも言います。」と書きましたが、まさにその通りです。

帰る時に受付の男性が「玄関の人形ビックリしたでしょう!」、「センサーで人を感知して機械仕掛けでお辞儀するんですよ。」、「お客さんほぼ全員後ずさりするんですよ~。」とうれしそうに話しかけて来た。

私が少しだけムッとしながら、「具合が悪くなるお年寄りや、怒り出す人いませんか?」と尋ねると、おじさんの目がしっかり泳ぎましたね。
大惨事の予感、そして税金の無駄遣い。

お役所仕事にしてはなのか、お役所仕事だからこそなのか良く分かりませんが、この”お化け屋敷”、いや”お武家屋敷”、かなり変わってます。
高梁に行ったらぜひ訪ねることをお勧めします。
 

 

 

2016.09.30 002

武家屋敷の風呂

 

前日までこの街で風呂塗装してた私は、なぜかここで長時間固まってしまいました。

いやなに、ただ木製風呂桶の施工方法、工期、見積金額を検討していたんです。
見積書の名義を「おばけやしき様」とするか「おぶけやしき様」にするかで大いに悩みました。

 

 

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