2015年5月30日投稿
美咲町は私の居住地です。
現場はわが社と自宅兼事務所のちょうど中間地点にあり、どちらからも車で2~3分で着きます。
今までで最も近距離の現場かもしれない。
朝夕の移動が楽でした。(笑)
この仕事もインターネット経由です。
世界中を情報が駆け巡るネットを介して、目と鼻の先のお隣から声をかけていただく。
私のアナログ脳は混乱しました。
時代について行けてないですね。
(施工前)
築35年の鋳物ホーロー浴槽です。
喫水線から下はホーロー表面がザラザラに荒れ、光沢も完全に消えています。
幸いサビはありませんでした。
FRPライニングが不要なので、難易度はさほど高くありません。
そうあることでは無いのですが、今回は天井バスリブと壁面タイルのカビ取りも同時に行いました。
カビ取りは、レインコート、ゴム長、ゴム手袋、ゴーグル、ガスマスク着用の完全防護でやりました。
そうしないと私も殺菌・漂白されてしまいます。
(施工後)
リグレーズ工法では耐久性を高めるため、必ずホーク社製ベースコート「ウルトラグリップ4000」を最初に吹付けます。
エポキシ樹脂製塗料であるため、密着性・耐温水性が非常に高く、効果は絶大です。
またウルトラグリップ4000は厚膜タイプなので、今回のように被塗材の表面が荒れている場合にとても助かります。
少々の不陸にはベースコートに無機粉体を添加し、粘度および膜厚を調整することで充分対応できます。
ベースコートをスプレーパテとして使う感覚です。
ホーロー表面の不陸が激しい今回の施工でも応用しました。
3世代が同居される大家族のお客さまですが、わが家と同じで女性優位のようです。
バスタブの色に関しては、一発でピンクに決まりました。
浴室がとても明るくなったと喜んでいただけました。
男性陣のご感想は、残念ながらお聞きしてません。 (^◇^)
2015年5月23日投稿
先週の(株)サンゲツ東京支社 上級技術研修の余韻さめやらぬ中、わが社から100km程の兵庫県加西市でFRP浴槽再生塗装を行いました。
わが社に限りませんが、年々ネット経由での受注が増えています。
そして相変わらず遠隔地からの問い合わせも多いです。
高速道路を使えるとはいえ100kmは、高速代、燃料費等を考えると浴槽1基の施工でお伺い出来るかどうか微妙な距離です。
施主様から電話でバスタブの状況をお聞きし、受注させていただくことを決めました。
かなり特殊なケースです。
築後8年。
使用開始から4~5年で浴槽表面に異常発生。
お客さま曰く「今はFRP浴槽がはげしく色あせし、ゲルコート(メーカーが工場で施すポリエステル樹脂仕上げ塗装)が無くなって、表面にガラス繊維が露出している。」
築後20~25年ならまだしも4~5年は異例の早さです。
Why?
How?
と知りたくなるのは、この仕事をやる人間にとって自然な反応です。
(施工前 NO.1)
喫水線(これは正しくは船舶用語です。ここではバスタブ水面ぎわの線と解釈ください。)から下が褪色および艶引けしています。
肉眼で見ると褪色部に微細なガラス繊維が大量に露出しています。
お客さまが入浴に不安を感じるのは当然です。
(施工後 NO.1)
現場調査の結果、「FRP全面ライニングは必要としない。ただしベースコートを倍量塗布することで、ゲルコート下のガラス繊維露出を防止する必要あり。」と判断しました。
- 入念な下地調整(サンディング)
- 2液反応硬化型エポキシ樹脂製ベースコート(ホーク社製ウルトラグリップ4000)を通常の倍量スプレー。
- 2液反応硬化型アクリル・ウレタン樹脂製トップコート(ホーク社製グラステック9200)通常量スプレー
基本工程は上記となりました。
同じバスタブをアングルを少し変えて撮影しました。
(施工前 NO.2)
(施工後 NO.2)
Why?
How?
なぜこんなに早くバスタブが劣化したのか?
やはり直接実物に当たるのが一番です。
お客さまは、水道代、ガス代の節約のため1週間お湯を張り放しにされていました。
そのうえ雑菌等の繁殖を防ぐため、毎日塩素(次亜塩素酸ナトリウム)を少量投入されていたのです。
長時間の溜め湯と塩素の投入。
この二つが早期劣化の原因でした。
一般的に合成樹脂は、長時間液体と接触する環境を苦手とします。
そのような環境下では加水分解やオズモシス(osmosis=浸透作用)が起こりやすくなります。
FRP製浴槽はポリエステル樹脂を主成分としています。
ポリエステル樹脂は、石油を原料として作られる合成樹脂です。
故にFRP製浴槽は、長時間の溜め湯により劣化が進みます。
もう一点、一般的に合成樹脂はアルカリ水溶液に接触すると加水分解を起こしやすくなります。
(逆に酸性水溶液では加水分解が起こりにくい。)
塩素を投入すると浴槽内のお湯はアルカリ性となります。
故にFRP製浴槽は、塩素の投入により劣化(加水分解)が進みます。
なお今回のケースでは長時間の溜め湯によって起こるオズモシス現象(膨れ)は見られませんでした。
お客さまには早期劣化の原因をご説明し、塗装を長持ちさせるための具体的使い方を列挙したペーパー「使用上のお願い」をお渡しして現場を後にしました。
施工も無事完了し、 Why? How? への答えも出たのでとても爽やかな気持ちの帰路でした。
2015年5月18日投稿
5月13日、(株)サンゲツ 東京支社様での上級技術研修が無事終了しました。
全国リグレーズ工業会からの参加者62名。
弊社から裏方として3名。
(株)サンゲツおよび講師を務めていただいた2社のスタッフを合わせ15名。
総勢80名の参加です。
(浴室床用シート「オフロア」研修)
(浴室壁用パネル「リアテック」研修)
懇切丁寧でとても分かりやすい研修になりました。
会場に大型モニターを設置していただいたのはありがたかった。
後ろに座っていてもしっかり見えました。
研修後は近くのホテルに移動し懇親会。
懇親会でも次の2次会でも、すっかりハシャイデしまって写真を撮り忘れました。
研修自体も素晴らしかったのですが、大勢の会員企業の皆さんにお会いできたことに感無量でした。
出来るだけ早く次の研修を企画して、また皆さんにお会いしたいです。
全国リグレーズ工業会の皆さま、(株)サンゲツ担当者の皆さま、講師の皆さま、本当にありがとうございました。
2015年4月7日投稿
全国リグレーズ工業会の皆さまへ
1月4日のバスタブFRP全面ライニングに続き、来たる5月13日今年2回目の上級研修を開催いたします。
今回は株式会社サンゲツ様の全面的協力をいただき、浴室洗い場床面へのシート、浴室壁面へのパネル貼り研修を行います。
今後の施工活動に必ず役立つ技術です。
一人でも多くの方のご参加を期待します。
本日現在51名の皆さまから「参加」のご返事をいただいています。
研修後の懇親会も楽しみです。
こちらは現時点で30名の参加予定です。
以下が上級研修概要です。
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日時 : 5月13日(水)13:00~17:00
場所 : ㈱サンゲツ 東京支社 新館5F
東京都品川区東品川3-20-17
(03)3474-1181
内容 : 浴室パネルの説明、施工講習
オフロアの説明、施工講習
研修費用 : 無料
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参加ご希望の連絡、ご質問などは國米までご連絡ください。
2015年1月15日投稿
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
正月早々に上級技術研修を開催しました。
新年会ならまだしも技術研修を1月4日に開催するのは、全国リグレーズ工業会15年の歴史で初めてのことです。
12月25日埼玉のK社Aさんから、「大至急バスタブFRP全面ライニング研修を受けたい!」と開催依頼を受け、1月4日と即決。
翌26日会員企業110社に「正月早々で来る人はいないだろうな~。」と思いながらメールで案内。
(1月4日朝の座学)
結局富山1社、埼玉1社、東京2社、愛知2社、合計6社のご参加となりました。
埼玉からのK社Aさんお一人と想像していたので、うれしい誤算です。
(ポリエステル樹脂の塗布・含浸)
大工仕事から浴槽塗装まで、何でもこなせるAさんですが、年末に急きょ初めての浴槽および洗い場床面全面FRPライニングが決まってしまいました。
初めてとしては難易度が高すぎる仕事です。
だから気合が入ってます。
(研削作業)
実際の施工では粉塵を出さぬため水研ぎするのですが、正月早々辺りには誰もいないし、この時期水研ぎは思いっきり冷たいので、大胆にも(怠惰にも)粉だらけの空研ぎです。
(プチ新年会)
テーブルの上に焼酎の一升瓶が鎮座してます。(笑)
夕方5時に無事研修が終わり、事務所でプチ新年会。
あらためて写真を見ると、新年会にしては少し暗い雰囲気。
少し酔った私が、よせばいいのにまだ技術的な話をしているからでしょう。
これでは酒が進まない。
皆さん正月早々申し訳ありませんでした! <(_ _)><(_ _)><(_ _)>
先日Aさんに電話したら、無事施工は完了したとのことでした。
明けましてめでたし、めでたし。
2014年12月29日投稿
年末繁忙期に岡山県北湯郷温泉のホテル3室を施工しました。
ユニットバスを天井から床まで全面施工ですが、今回特に問題となったのは下の写真にある浴槽壁面クラック(ひび割れ)です。
(バスタブ壁面クラック)
3室ともFRP製浴槽のほぼ同じ箇所にかなり長く深い亀裂が入っています。
バスタブ製造上の問題なのか、それとも躯体の歪みなど建物構造上の問題なのか判然としませんが、このまま放置すればそのうち湯が洩れ始めるのは間違いないでしょう。
この種の補修でパテを用いると、後で必ずと言って良い程同じ箇所にクラックが再発生します。
今回はFRPライニング(ガラス繊維強化工法)を採用しました。
(バスタブ施工前)
(バスタブ施工後)
(壁面柄入りタイル施工前)
(壁面タイル施工後)
(床面施工前)
(床面施工後)
(施工前)
(施工後)
若いホテルオーナーは、
「1年前同じ症状が出ている客室ユニットバスを新規に入れ替えた後、大阪のリフォームフェアでこの塗装工法を知った。」、
「ネットで検索し近くの御社を知り、すぐに電話を入れた。」、
「もっと早くこの工法を知ってれば良かった。なんか損した気分です。残念!」
と言われました。
最終日の12月28日、私がポリッシャーで仕上げのバフがけをしていたら、突然背後から、
「何しょーるん?」
と人の声。(びっくりした~!)
ちょうど共用部のジュータン張替えに入ってた会社の親方でした。
「驚かさないでよ・・・」と思いながら、
私 : 「塗装で風呂をリフォームしてます。」
親方 : 「ホーッ、そんな工法があるとは知らなんだ。競争相手がおらんけん儲かってしょうがなかろー。」
私 : 「いや、それ程でも・・・・・。」
親方 : 「アッ、そうか! 誰も知らんけん仕事が来んか? それじゃー儲かりゃせんわのー! ワッハッハー。」
私 : 「いや、それ程でも・・・・・。」
楽しい会話とともに今年最後の施工が無事終わりました。
2014年11月25日投稿
私の左足首剥離骨折が原因で、長い間中断していた東京での技術研修を再開しました。
記念すべき(?)、そして何より喜ばしき再開第一回目なので投稿します。
以前の会場は大田区でしたが、これからは江戸川区の(株)クリーンフィールド様社屋での開催となります。
(株)クリーンフィールド様は、全国リグレーズ工業会の代理店として活躍されています。
2日間の研修は、座学約30%、実技約70%で構成されています。
今回は8名のご参加です。
上の写真は1日目午前の座学風景です。
1日目午後、この業務で最も重要な下地調整研修です。
11月下旬にしてはポカポカと暖かく、浴槽を外に出しての実技です。
2日目は終日吹付け研修です。
午前中ベースコート、午後トップコートを全員でスプレーします。
写真はベースコートの吹付けです。
今回の研修は妻が同行してくれたので、機材を車に積み込んでの移動が楽だったし、ドライブ気分でとても楽しかった。
研修では東京で学生生活を送る息子が手伝ってくれたので、ずいぶん楽だった。
研修の後はフライトで羽田に来ていた長女が合流し、みんなでおいしいワインと食事を楽しめた。
ひさしぶりの東京研修は、いいことずくめの内に無事終わりました。
2014年11月17日投稿
岡山県新見市大佐の一般住宅ホーロー浴槽再生塗装。
わが社から50kmほどの大佐にはかなり規模の大きいハンググライダー飛行場があります。
25~26年前長女がまだ小さかった頃、飛行場でのイベントに合わせて遊びに来たことがあります。
命がけで遊ぶ鳥人がたくさんいて、「人間ってすごいな!」とただ感嘆したのを覚えています。
あの頃は、防水・塗装を中心にしたリフォーム工事をやっており、まだ浴槽・浴室塗装は始めていませんでした。
数年後にリフォーム工事のお客さまから「塗装で風呂は直せないの?」と尋ねられ、
「どうなんだろう?」
と思ったところからこの仕事への取り組みが始まったことを思い出します。
25年ぶりの大佐、懐かしさもひとしおです。
今回は築後40年以上の鋼板ホーロー浴槽への、少し特殊な施工です。
浴槽底面にサビで穴が10ヶ所以上開き、お湯が洩れています。
シリコンコーキングや市販のパテで穴を塞ぎ使用されていましたが、やがて断念。
以前店舗として使用されていた空きスペースにユニットバスを設置され、穴の開いたホーロー浴槽はお役御免。
今回諸事情で一時的に(約5年間)このホーロー浴槽を使う必要が生じたための復旧工事となりました。
さてこのバスタブを生き返らせることが出来るのか?
(施工前)
浴槽下部に10箇所以上穴が開いています。
上の写真は詰め物としてのコーキングやパテをすべて除去した状態です。
浴槽フランジ(天端)や壁面タイルの青色は、ご主人が市販の塗料をローラー塗りされたものです。
私が下見で訪問した時は浴槽内にも塗装されており、塗料が斑に残っておりました。
今回の施工では浴槽以外は現状のまま残すこととなりました。
(FRPライニング完了)
写真では分かりにくいですが、穴を塞ぎ漏水を止め、長期の耐久性を確保するため、浴槽内部全面にFRPライニング(ガラス繊維強化工法)を施した状態です。
ホーロー素材に対してポリエステル樹脂は密着性が悪いため、事前に2種類のプライマーを塗布しています。
私たち施工業者は、これをWプライマーと呼んでいます。
FRPライニングを施すと浴槽表面に凸凹が出来ます。
長時間の研削作業で新品の浴槽と同様の平滑さにします。
研削にはWアクションサンダーを使用するためかなりの騒音が出ます。
集合住宅で施工する時は、周囲にかなり気を使います。
聴覚が麻痺し、途中電話がかかった時も良く聞こえないし、いつもの倍くらいの大きさで話して相手を驚かせたりします。
<余談開始>
今回のように一日中サンダーを回し続けると、帰りの車中で面白いことが起こります。
風切り音やエンジン音が、音楽に聴こえて来るのです。
それもなんとなく音楽っぽいものではなく、とても明瞭な楽曲として聴こえて来るのです。
初めてこの現象に遭遇した時は、「僕って作曲の才能があったんだ?!」と興奮し喜びました。
ただこの興奮はすぐに醒めやります。
車載オーディオと違って自分で曲を選べないのです。
この部分が気に入らないからと編曲も出来ません。
私の音楽的才能の有無とは何の関係もなく、ただ勝手に鳴り響くだけなのです。
シュルレアリスムのデカルコマニーや、ぼんやり空を眺めていると雲が動物や人の顔に見えてくるのと似た現象だと思うのですが、どんな曲が聴こえてくるかは完全に相手まかせです。(相手とは誰なのでしょう?)
通常は聴覚保護のため耳栓をして研削するのですが、今回はあいにく忘れてしまいました。
おかげで帰りの車中では1時間ずっと音楽を聴くことが出来ました。
ただちょっと気になったのは、楽曲がモーツァルトや渋いジャズではなく、三波春夫の「チャンチキおけさ」だったことです。(笑)
因みに三波春夫さんは51年前の東京オリンピックでテーマソング「東京五輪音頭」を歌われました。YouTubeでぜひ聴いてください。時代の流れを感じられます。
<余談了>
(施工後)
周囲の傷んだ水色塗装はそのままでいささか残念ですが、リグレーズ工法で再生塗装し作業完了。
施主様には事前に了解してもらっていたとは言え、養生テープを剥がす度にタイル面のDIY塗装が剥がれるのが悲しいというか、とにかく残念でした。
とはいえ、お役御免のはずだった築後40年以上の浴槽が、FRPライニングと再生塗装で15年以上の耐久性を誇る強固さと柔軟性を獲得しました。
私も「お役御免」などと戯れ言を言わず、頭はいまさら無理でも体だけでも鍛え直し、このバスタブに負けぬよう、少なくともあと15年は現場や技術研修をやりたい。(笑)
この施工でも5年の保証書を発行しています。
この「5年」は、耐久性が5年という意味ではありません。
5年間だいじょうぶな施工であれば、6年目7年目あるいは10年目から異常が発生することはないことを意味しています。
通常お客さまには「10年以上の耐久性があります。」と口頭でご説明しています。
理論上もそうですが、私たちの20数年の施工経験がこれを証明しています。
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